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2012年4月29日

歴史は直線ではなく重層/中西人間塾in小布施

奈良県立万葉文化館名誉館長の中西進先生をお迎えしての「中西人間塾in小布施」を聴講させていただきました。

以下、手許のメモから、ご講演の断片を記します。

 

小布施へのご来訪は、今回が初めてとのこと。「小布施の町には“匂い”がある。“地勢”がある」と感じられたそうです。目に見えないけれど、そこに漂っている、気配、雰囲気のようなもの……それを中西先生は、町の歴史の堆積からなる「積み荷」と表現されました。

 

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過去・現在・未来という時間の流れと、そこから生まれるものを、直線的にとらえるのではなく、重層的に見ることの大切さを、中西先生は強調されます。過去はすべて、今に受け継がれ、未来へ伝わっていくということです。

 

今・ここ・自分を切り取って見るのではなく、俯瞰して、永い永い時間の中の1点にいる自分を見ること……そこから、今、すべきことを、一人ひとりが心得るための手がかりが得られそうです。

 

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日本の国づくりは5世紀以降、700年ごとに一つの節目を経て、現在、「第3の国づくり」の動乱期にあるそうです。

 

「第1の国づくり」は「芸術の国づくり」。人間の「感性」によって営まれ、「美」を求めた時代。

 

「第2の国づくり」は「学術の国づくり」。「知性」によって営まれ、「真」を求めた時代。

 

そして現在、「第3の国づくり」は、「道徳の国づくり」。「意志」によって営まれ、「理性」すなわち「善」を求める時代です。3段階を経て、日本人は「真・善・美」を獲得しようとしているわけです。

 

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第3の国づくりは、真善美のトライアングルの完成に向かう、非常に大切な段階と言えそうです。ただしこれは、第1、第2に比べて困難です。これまで、一人ひとりが個人ベースで獲得することができた美、真と異なり、善を獲得する営為は、個々人のものであると同時に集団、全体のものでもあるからです。

 

第3の国づくりには、調和・寛容・平和が必要です。

 

個々人の美や真を集めて、全体として善の文化を築いていく、それが第3の国づくりです。ご講演の最後に、中西先生は「善」を「明日(未来)への貢献」という言葉で説明されました。

 

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「全体」とは、「日本」であり、その先で地つづきに「アジア」そして「地球」でもあるのでしょう。そのとき「地球規模で考える」ことは必要であっても、「地球全体を一律にする」のではなく、「多様性を保ったまま、個々が集まって、全体として一つになること」が大切……と教わりました。

 

歴史は直線ではなく重層。「今・ここ・自分」のすべては、地層ならぬ“時層”に堆積され、未来へ伝えられていきます。一日一日、一分一秒も、おろそかにはできませんね。

 

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最後に、真善美のトライアングルを内包した、中西先生からのメッセージを。

 

「深く『情』に根ざした、 『聡明』な『意志者』であれ」

 

(写真:中西人間塾の翌日、小布施を散策、木下家を訪問された、中西進先生と人間塾卒業生のみなさま。)

 

 

 

 

 

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