2003
年
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オブセッションは建築家の内藤廣さん
朝から仕事場にて編集の仕事。午後は、小布施町役場で「オープンガーデンブック」の編集打ち合わせ。そのあと、町商工会へ。経営指導員の輿石多美子さんと確定申告の相談。
夕方6時30分、小布施堂にて、オブセッションに参加しました。
講師は、建築家の内藤廣さん。小布施の町並み修景を先導された建築家の宮本忠長さんとのかかわりが深く、長野県内では、いわさきちひろさんの「安曇野ちひろ美術館」の設計者として知られています。
テーマは「時間について」。内藤さんの次のようなお話が、印象に残りました。
○(いい建物ではなく)いい場所を創りたいと思う。いい場所とは、より自由で豊かな時間を過ごしていただける空間。建築雑誌の表紙を飾るようなめざましい建物にしようとは、ツユ思わない。
○ポストモダニズムはいつのまにか形骸化して「好き勝手にやっていい」という発想になった。そこにバブル経済がのしかかり、20世紀終盤の日本の建築は蜃気楼のように(軽々しい存在)なってしまった。私は「浦島太郎であること」が大事であると思って生きてきた。
○「時を知らせる時計」について考えてみたい。教会やお寺の鐘→家の柱時計→腕時計。大きな共同体が共有する「時」から個人の「時」へ。近代的な自我は、技術進歩にともなう「時間の個人化」と並行して進んだ。建築の世界における「時」も、同時に変化した。
○「死」の存在が入らない建築は「時間」に目を向けないことであり、私は認めない。先祖への祈り、人々の営みや死の記憶を、建築に込めてきた。
○プレハブ住宅を否定する!めがねや食堂のメニューと同じ感覚で、住宅を買ってはいけない。プレハブやマンションは、売る時(買う時)の価値が最大であり、年々価値が下がる。その前提で造られ売られる。住宅の価値は、住む人が生み出していくもの。長い時間のことをイメージして、住宅のことを考えたい。プレハブ住宅に幸せは無い!住宅メーカーの広告宣伝にマインドコントロールされてはいけない。
○関心事は「どうやったらその場所で、人々が誇りをもって生きていけるのか」ということ。ゆっくりと時間をつなぎ合わせていく姿勢をもちたい。「建物に長い時間を託す」哲学をみんなでもちたい。
○現代的であることと、ノスタルジー(郷愁)の共存を意識している。ノスタルジーとは、時間に対するイメージ。
○人はいろいろな時間のなかにいる。いまという時間は、自分の時間であると同時に、村の時間、町の時間、国の時間、歴史の時間、宇宙の時間など多様な「時間」にとりまかれている。ハード面や技術面に関心をもちながら、さまざまな時間について、考えてみたい。「保存」とは、時間の記憶を保つこと。
○汚い景色の日本。でも悲観しなくていい。戦後50年で汚くなったのだから、その気になれば50年できれいにできる。とくに戦後の建物は耐久性が低い。すぐに無くなる。若いみなさんがその気になれば、みなさんが生きているうちに、日本はきれいになるんです。本多清六博士が構想した明治神宮の森は、当初百年計画であったが、50年ですばらしい森になった。勇気をもってください。
以上は、木下の文責です。
オブセッション、すばらしい刺激の場です。小布施堂さん、感謝しております!
【今日の写真】内藤廣さんの近著『建築のはじまりに向かって』(王国社)
【透玄 今日の俳句】「去年の葉や 風に立ちあがり 駆けにけり」(去年:こぞ)
裏の栗林の細長い葉が、雪解けで解放され、春の風に立ちあがって、いっせいに駆けだしました。まるで森の小人の運動会です!