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文屋だより

メールマガジン「文屋だより」は、
百年本の文屋代表、小布施人、農士、「美日常」提唱者として、
ものごとの原点(本来あるべき姿)を考えつづける筆者が、日々、交流の場を綾なしながら、
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vol.045 受けたご恩は石に刻め。そして「ご恩贈り」を

2016年01月02日

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(きょうのテーマ)

        受けたご恩は石に刻め

        そして「ご恩贈り」を

      鍵山 秀三郎・塚越 寛 著

      『幸福への原点回帰』

           その5

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    ★苦境の中にいただいたご恩★
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「かんてんぱぱ」のブランドで知られる伊那食品工業

塚越寛会長の最初のご著書


『いい会社をつくりましょう』(現在は「新訂版」)。

2004年(平成16年)夏の同書の発刊から
3年あまりのちの

2007年(平成19年)暮れ、

塚越さんと鍵山さんの共著
『幸福への原点回帰』は
誕生しました。

本書についての思い出やエピソードは、
書ききることができません。

前回、お二人が「おふくろさん」のことを
回想しながら、
胸を詰まらせたことを記しました。


もう一つ、
わたしの記憶に残っているお話があります。

私はこの実話を、
冬、
この季節になると、

よく思い出します。


それは、
鍵山さんが、
歌手・藤山一郎さんとの「出会い」を語る
場面です。


藤山さんは、
『丘を越えて』をはじめ、
数々のヒット曲で知られる
大歌手です。


「 感動を生むのは、いい人との出会い」


「いい人との出会いに恵まれることで、
自分が高まり、

また強くなっていく喜びを感じる経験を、
私も数多く重ねてきました。

勤めていた会社を退職し、
独立したばかりのころを思い出します。

自転車一台で始めた
自動車用品の行商でしたから、

営業に訪ねる先々で、
ずいぶんとつらい思いもしました。

そっけなく門前払いを受けることは
日常茶飯事でしたし、

話を聞いてもらえる機会すら、
ごく限られていました。

そんな中で、

時折、私の訪問を受け入れ、
座ってじっと話を聞いてくださる方に
巡り合います。

みぞれの降る日に、
あるお店の前で自転車を止めて
中の様子をうかがうようにした時に、

扉が開いて中から手が出てきました。

その方は私の濡れた袖をつかんで、
透き通るような明るい声で、

「寒いでしょう。冷たいでしょう。
中へお入んなさい」と私の肩を抱いて
寄り添いながら、

お店の奥のストーブの前まで
押していってくれたのです。

「手が冷たいでしょう。おあたんなさい。
今、お団子を買ってきたところだから、
ひとつ食べなさい」と、

テーブルにあったひと串を
くださいました。


「ありがとうございます」と言おうとしても、
胸が詰まってしまい、
声がかすれて、

もうただ頭を下げるだけでした。

人対人として応対してもらえる。
話を聞いてもらえる。

それだけで、私は感動に包まれ、
天国にのぼるような心地を
味わいました。


「ああ、私も一生を通して、
こういう人間になろう。

弱い立場の人、
つらくて苦しんでいる人、
さびしい思いをしている人に

温かい声をかける。

その人の心を
癒して温められるような
人になろう」と思いました。


私に温かな心をかけてくださったそのお方は、
あの大歌手の藤山一郎さんです。

藤山さんは、
奥様が小さなガソリンスタンドを
営んでおられたので、

その寒い日にたまたまお店に
来ておられたのでした。

今でもあのときのことを思っただけで、
胸が詰まるような気持ちが
よみがえるとともに、

「温かな人になろう」と
決めた初心を
思い出しています。」

(改行、木下)


このお話を聴かれながら、
塚越さんも、静かに目を閉じて、

ゆっくり、
うなずいていらっしゃいました


お二人の、
こうした「人生の名場面」を伺い、
掲載することができたことも、

『幸福への原点回帰』の
「百年後への貢献」であったと思います。


鍵山さんとのおつきあいは、
すでに10年を超えております。

お目にかかるたびに、
鍵山さんがわたしに、

「木下さん、こんにちは」

「木下さん、便器のこの汚れはねー」

と必ず、
わたしの名前を呼んでくださることを
思い出しております。

それはもちろん、
私にだけではありません。

鍵山さんは必ず、

1.まずご自分から声をかけられ、

2.相手の名前を呼びかけられます。


そして、

3.目下の人にも、
必ず「さん」付けなさるのです。


「温かな人になろう」と決めた初心は、
82歳になられた今も、
変わることはありません。


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      ★心温かきは万能なり★
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鍵山さんが藤山一郎さんにいただいた
「ご恩」を回想するのを受けて、

塚越さんは、
「人様のお世話になって生きている」の節で、
こうお話しくださいました。


「自分の親に限らず、
私も自分を支えてくれる大切な人たちから、
たくさんのことを学び、

また感動をいただいて生きてきました。

(中略)

これは少々不名誉な話になってしまうのですが、
あるとき、
会社の将来にかかわる緊急事態に見舞われました。

お得意先のトップに
直接うかがってお願いしなければならないことがあり、

私は激しく気が動転していました。

そのときに一人の友人が、

「あなただけでは大変でしょうから、
うちの社員を一人同行させましょう」と

取り計らってくれたうえに、

「これを持っていくといいですよ」と
手土産まで用意してくれたのです。

友人の機転に助けられて、
私はその危機を
何とか乗り切ることができました。

これはなかなかできる配慮ではありません。

ありがたいご恩に、今も感謝しています。

こうした経験をあげていくと、きりがありません。

結局、私たちは人様のお世話になって
生きているわけですね。

ですから、私も人にしてあげられることは、
少しでもしていかなければならないと思っています。」


塚越さんが、

「社員の幸福」を会社の目的を定められ、
「社員の幸福を通じた社会貢献」で、
「いい会社」をつくろうと努めてこられた

足跡の原点を見る思いがします。


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    ★「ご恩贈り」の会社経営★
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塚越さんはつづけます。

「分を越えたところへ、
無理をしてまで手を出すことはありません。

できるときに、できる範囲のことを、
してあげたいものです。

直接お世話になった人にお返しすることは、
かなわないかもしれません。

それでも、困っている人を助けることで、
ご恩に報いることはできます。

そのつながりによって、
世の中は回っています。

今を生きる私たちにとっては、
将来を担っていく人たちのために、
できることをしていくことが、

恩返しになるのではないでしょうか。」


近ごろときおり耳する言葉、

「ご恩贈り(送り)」

はまさに、このことなのですね。


鍵山さんは塚越さんのお話を受けて、
つぎのように語っていらっしゃいます。


「塚越さんのお話をお聞きしながら私は、

「心温かきは万能なり」という

言葉をまた思い出していました。

万能の薬と同じで、
愛情に満ちた温かな心は
人の心を癒すことができるだけではなく、

自分自身も人間として成長できますし、
世の中をよくすることができます。」


「かけた恩は水に流せ(忘れろ)。

受けたご恩は石に刻め(決して忘れるな)。

そして、
ご恩は、恩人に、あるいは、
ご縁のあるみなさんに、贈りましょう。」


70年余の年月を生き、
50年余、
会社を営んでこられたお二人の、

「いのちの結晶」 としての共著。

『幸福への原点回帰』


題名も表紙のデザインも、
おとなしい、
しずかな印象です。

書店にズラリと並ぶ
威勢の良い本たちの中では、
埋もれてしまいます。

地味な存在

ですが、本書は、

出版から2回の増刷を重ね、
2007年12月28日の出版から
丸8年を経た今も、

しずかに、静かに、
読者樣を増やしています。

これこそ、文屋が求める、
「百年本」の姿です。

今後も、
鍵山さんと塚越さんからの学びを、

経営に、本づくりに、
生かして参りたいと思います。

あまりにも高く、遠い、
理想です。

一歩ずつ。

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     ★きょうの気づき★

◆ 「心温かきは万能なり」

   お二人の生きざま

   藤山一郎さんのご厚情

   人として、経営者としての

   「本来あるべき姿」を、

   確かめながら、歩みを進めたい。

◆ 「ご恩返し」「ご恩贈り」

   返すべき、贈るべき先は、
   木の枝葉ではなく、
   「根元」優先で。


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◆『幸福への原点回帰』

文屋サイト:
http://www.e-denen.net/index.php/books?_id=18

Amazon:http://goo.gl/FhHmLY


◆『新訂 いい会社をつくりましょう』

文屋サイト:
http://www.e-denen.net/index.php/books?_id=10

Amazon:http://goo.gl/aMgUIu


いつもの書店さんでもご予約いただけます。

いつもの図書館に「購入リクエスト」も。
(無料で読めて、みんなも読めます)


◆藤山一郎さんの歌声を、
YouTubeで聴くことができます。

ステージで歌うバックにいる演奏者や
コーラスのみなさんへの心配りも、
見て取ることができます。

https://www.youtube.com/watch?v=syi-Rm6JdUQ


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