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2012年5月21日

金環……に少しだけ届かなかった日食

2012年5月21日、朝6:30ころから9:30ころにかけて(場所により時差あり)、金環日食が観測できるとのことで、ずいぶん前から新聞などでも話題になっていました。

 

日食メガネはさすがに購入しませんでしたが、国立天文台ホームページに、簡単にできる観察方法が紹介されていましたので、紙に穴をあけてピンホールの影で観察する方法と、手鏡の反射で壁に映る影を観察する方法を試しました。

http://naojcamp.mtk.nao.ac.jp/phenomena/20120521/

 

 
完全なリングは見られませんでしたが、太陽がかなり細くなったところが見えました。頭で理屈はわかっていても、やはり不思議な光景です。
 
晴天ですが、辺りがすこし暗くなっているように感じました。
 
写真は手鏡を使って壁に映した太陽の影です。 
 
 
 
 
 
 

 

2012年5月14日

感謝を学ぶお店/文屋座特別版

清水慎一さんのご講演の後半では、スタッフのお二人がゲストでご登場くださいました。事前打合せがあったわけではなく、大久保さんからリクエストを受けてのお計らいです。

 

清水さんは「今、厨房を見渡して、一番テンパッている二人を選んで、連れてきました」と笑っておっしゃいました。

 

「学生時代にはまったく勉強ができず、ツッパッていた。夢もない。何もない」と清水さんから紹介されたお一人は、入社3年目で既に大活躍されている方。

 

大久保さんから、「本当に輝いてきましたね。どうして?」と問われると、「ここで働けるからだと思います。シェフと出会って、シェフと話をして、シェフのご両親から『息子が一人増えた』と言っていただきました。そんなことを言われたことがなくて、とてもうれしかったです。家族のように接してもらっています」とのお答え。

 

「シェフからも、慎一さんのお母さんからも、よく叱られるでしょう」との問いかけには、「腹が立つことはありません。シェフが信じてくれているから」。

 

すかさず大久保さん、「見えないところの関係性をどうつくるか、本質をいかに充実させるか。シェフは彼の良さ見抜いて、信じています。だからついてきてくれるんです。人は『ついてこい』と言われてもついてきてくれないものです。信じてもらえたときに、ついていこうと思えるのです。シェフは本気で怒ります。本気で育ってほしいと願っているから怒るのです」

 

もうお一方からは、「店を辞めたい」と思ったというエピソードをお話しいただきました。「仕事はすごく楽しいんです。でも期待に応えられなくて、自分のせいで一番おせわになっている大切な人に迷惑をかけてしまうことが苦しくて……」と。

 

この方に限らず、Shimizuを辞めたいと思う方は、店がいやでそう思うのではありません。「大切な仲間やシェフに、自分が迷惑をかけるから」なのです。

 

それでも、苦しいときに、寄り添ってくれる仲間がいます。信じてくれるシェフがいます。その思いの力、心のつながりに支えられて、みなさんそれぞれに、苦しみを乗り越えながら、やがてお一人おひとりが、今度はShimizuのお店を支える力になってきておられるのです。

 

この方も、今や技能コンテストで優秀な成績を収めるパティシエールさんです。

 

「Shimizuの社是にある『感謝』を、この店で働きながら自分も学び、感謝できるようになってきた」と話してくださいました。

大久保さんが清水さんを評して曰く、「シェフのいいところは、ときどき激しく落ち込むところです。悩んで、行き詰まって、落ち込むからこそ、成長できるのです。彼はつまずくたびに、確実にステップアップしています」。

 

「人のダメなときに接して、あるいは、ダメだと言われている人と向き合って、シェフはその人の中にあるいいものを見抜く力、輝きを引き出す力に長けています」

 

そして、「いい組織は、仲間が揺れたとき、みんなで支えます。同じ目標に向かって一緒に働ける幸せを、みんなが味わえます」とのお話をいただきました。

 

スタッフの方が思わず流した涙に、受講者のみなさんも胸を熱くしながら……最後に、Shimizuのおいしいお菓子をたくさんお土産に買って、笑顔いっぱいのおいとまとなりました。何度ここへ来ても、そのたびに、Shimizuのお菓子は、幸せな気持ちにさせてくれます。

 

塚越寛会長をはじめとする伊那食品工業のみなさま、清水慎一さんと菓匠Shimizuのみなさま、監修を担ってくださった大久保寛司さん、受講のために全国からお集まりくださったみなさま、2日間、佳き時間を共有させていただき、ほんとうにありがとうございました。

 

 

清水慎一さんの『世界夢ケーキ宣言!』、くわしくはこちらです。

http://www.e-denen.net/index.php/yumecake

 

 

 

 

 

「これがお菓子屋だ!」/文屋座特別版

文屋座特別版2日目、伊那食品工業を辞した一行は、天竜川を渡って菓匠Shimizuへ。

 

お店では、清水慎一さんとスタッフのみなさんが、満面の笑みと、大人気のロールケーキと、いれたてのコーヒーでお迎えくださいました。舌鼓を打ちながら、清水慎一さんのお話をうかがいました。

 

「(昨日の社員さんインタビューを傍聴したShimizuスタッフから)伊那食品工業の入社2年目の社員さんが『会社でいやなことは一つもない』とおっしゃったと聞いて、信じられない気持ちです。僕は毎日いやなことがあります。それをどう自分でコントロールするかが課題です。

 

自分の持ち場で責任を果たすことは当たり前です。そのうえで、社会人として果たすべき責任というものがあると思います。それは、自分が常にワクワクしていることです。いやなこと、苦しいことを、自分のなかでどのようにワクワクに変えるか。それを今、研究中です」

 

「スタッフとの絆を表現するなら『仲間』という言葉になると思います。血はつながっていませんが、お互いを主やる関係です。ジグソーパズルのピースのように、お互いに補いあえるようなチームでありたいと思っています」

 

「少年院に入っている少年たちの前で講演会をしたことがあります。自分の店で、彼らをスタッフとして受け入れられたらと思います。紆余曲折を経てきた人をどう受け入れられるか、店の度量が試されるでしょう。

 

いままでに入社したスタッフの中にも、勉強がまったくできなかった人、学校でいわゆる“お荷物”扱いされてきた人、将来に夢がもてない人がいます。Shimizuで仲間の姿荷振れて、そういうスタッフたちのスイッチが入る瞬間を、僕は何度も見てきました。

 

高さ30センチのアクリルケースに閉じ込められていたノミは、30センチ以上跳ぶことができません。けれども、広い空間に解放して、何メートルも跳べるノミの姿を見せると、3メートルくらい跳べるようになるそうです。そんなふうに、潜在力を引き出す環境をつくってあげたいと思っています。同時に、スタッフたちには『後輩たちのためにも、常に3メートル跳ぼう!』と言っています」

 

「教育現場へ講演会に招かれて行ったときに、『子どもたちに夢がない』とよく聞きます。でも、そう話す先生方が、じつは夢をもっていないのです。それでは子どもたちは夢をもてません。

 

大人が夢をもち、夢を語り、夢を実現できる社会をつくりたいと思います。それでこそ、子どもたちも夢を描けると思うのです。」

 

「Shimizuでの夢ケーキが恒例となり、NPO活動でも全国の菓子屋から『子どもたちに夢を!』というメッセージを発信しています。行政や教育委員会を巻き込んで、夢ケーキが大きなうねりを生もうとしています」

  

「東京の百貨店からお声掛けをいただいて、1週間、出店しました。新しいレシピを作るべきか? いままでにないすごいパッケージを作ろうか? 値段もいつもより高くしようか? とさんざん悩み、話し合った結果、僕たちは『いつものように、元気よく、大きな声をだしていこう』と決めました。

 

地下の食品売場に、Shimizuのスタッフたちの声が響き渡りました。周囲は上品なお店ばかりです。他店のスタッフの人たちは明らかに引いていて、Shimizuは浮いていました。

 

1週間の出店が終わった後、お客様からメールをいただきました。『あの百貨店には毎週買い物に行くけれど、「これがお菓子屋だ!」というお店に久しぶりに出会いました。Shimizuのようなお店に、東京に出店してほしい』とメッセージをいただきました」

 

「昨年亡くなった祖母の教えが『徳』でした。今の僕が毎日幸せを感じられるのは、3代前のご先祖様が身近な人たちに親切にして、徳を積んだからだ。天狗になるな、図に乗るなと、ずっと言われつづけていました。

 

祖母は饅頭を2つ買ったお客さんに、同じ饅頭を4つ、おまけにあげて、4つ分の代金を自分の財布からレジへ入れる人でした。6人家族だと知っていて、そうしたのです。あの祖母の姿こそが商売の原点だと思っています」

 

 

 

 

本物は360度/文屋座特別版

文屋座特別版2日目、伊那食品工業での最後のレクチャーは、大久保寛司さんによる全体解説です。

 

以下にポイントをいくつか記します。

 

「塚越会長の社員に対する思いの深さは尋常でない。根底に信頼と尊敬と愛情がある。だから厳しいことを言われても、社員は素直に受けとめて、きっちりと直していける」

 

「入社当初は優秀とは言えなかった社員が、一生懸命に働いて変わってきたという。その結果を生んだ一番の源泉は、塚越会長が社員一人ひとりの力を同じように信じていること」

 

「人が育つ会社では、一人ひとりが指示命令をされなくても自主的に行動できる。自分が何をすべきかを、自分で判断できる。主体的に行動していくと、人は喜びを感じることができる」

 

「本物は360度。つまり、いつでも・どこでも・誰にでも、同じように接することができる。伊那食品工業の社員の方々は、お客様だけでなく、宅急便の配達員さんにも、納入業者の方にも、全員が同じようにいい対応をすることができる」

 

「社員の人たちの動作が美しい。表情や雰囲気が美しい。この美しさは、自然に、内側から湧き出てくるもの。すなわち本物。本物は、中から湧き出てくる。一度湧き出したら、止まることがない」

 

「塚越会長がある講演会で初めて、『私にも一つだけ野心があった』と明かした。それは『社員をどれだけ大切にしても経営は成り立つということを証明したい』ということだった」

 

「どんな人でも、磨きつづけない限り必ずダメになる。いい人に会ったり、いい本を読んだりして、常に磨きつづけることが必要」

 

「『がんばろう』と思っても、時間が経つと忘れる。きちんとやっているつもりでも、だんだんとズレていく。だから繰り返し軌道修正をすることが必要。『いい会社をつくりましょう』は10回読んでも足りない。100回読むといいと思います」

 

 

 

 

 

 

ファンづくり/文屋座特別版

文屋座特別版、2日目は、伊那食品工業の朝掃除の体験、見学から始まり、朝礼とラジオ体操への参加、そして塚越寛会長へのインタビューと進みました。

 

以下、ごく一部ですが、塚越会長の談話から。

 

「『いい会社』の意味、そしていい会社づくりの実践がどういう結果を生むのかということを、機会あるごとに繰り返し社員に語ってきた。それが共有できてきたから、みんな一生懸命やっている」

 

「ファンづくりは経営の要。商売がうまくいくためには『この会社が好き』『この会社の商品が好き』と思ってもらうこと」

 

「あらゆる人にファンになってもらうよう努めている。入社試験に訪れた学生さんに対しても、もしも入社できなくても『いい会社だった』と思って帰ってもらえるように」

 

「ファンづくりの一環として、寄付行為は地元集落が最優先」

 

「私が入社したばかりのころには、経営で一番大切な信用も、生産技術も、お金もなく、社員が財産のすべてだった。社員がモチベーションを上げてくれるために何をすべきかが、最大のテーマだった。そのための一環で、よく社員と一緒に食事もした。一緒に食べることは、ずっと大切にしている」

 

「社員にやる気を起こしてもらうには、この会社の一員だ、自分たちの会社だと思ってもらうこと。『伊那食ファミリー』という言葉にその思いを込めている。すべて一緒に苦しみ、一緒に楽しむ」

 

「自分の仕事を天職だと信じ、一生をかける価値があると確信して、一生懸命にやること」

 

「有言実行が大切。黙ってやるより、言ってからやること。人に話してしまえば、やらざるを得なくなるし、軽はずみなことも言わなくなる」

 

「木曽ヒノキのように、優秀な木材ほど目が詰まっている。会社も少しずつ成長することによって、目が詰まった強い会社になる」

 

「成長とは、会社で働く人たちが『うちは去年よりもよくなった』と実感できること」

 

「とにかく社員に直接話しかけている。食事の時間でも、トイレで行き会っても、話しかける」

 

「会社のパワーの源泉は、社員の結束力、チームワーク。そのために、新卒者を採用するときは、学業の成績よりも協調性を重視している」

 

「学ぶとは、どう生きるかを知ること。会社において道とは、自分の職業は本来どうあるべきかということ」

 

「働くことは社会人として当たり前のこと。憲法27条には、勤労の権利とともに義務が規定されている。高齢になっても、分に応じて働くことが、日本人の義務」

 

「自分の会社をよくすることと同時に、公のためにいいことをしたい。それが会社のイメージアップ、ブランド力アップにつながる」

 

「一生懸命に働いて損をすることはないと、社員全員が思っている。社員たちとともに、理想郷をめざしたい」 

 

 

 

(写真:文屋座受講者のみなさんも、朝掃除の後、一緒にラジオ体操を行いました。)

 

塚越寛会長の『いい会社をつくりましょう』、くわしくはこちらです。

http://www.e-denen.net/syoseki/iikaisya.html 

 

 

 

 

 

いい会社/文屋座特別版

(写真:「かんてんぱぱガーデンで満開のチューリップ。社員のみなさんが毎日おせわをされています。長野県伊那市の伊那食品工業にて。)

 

さる5月1日・2日、文屋座特別版が開催されました。北は岩手県から南は広島県まで、全国から受講者の方々をお迎えして、なごやかに、かつ、真剣に、ともに学ばせていただきました。

 

今回の講師は、伊那食品工業の塚越寛会長、そして菓匠Shimizuのシェフパティシエ清水慎一さん講師。「人と経営研究所」所長の大久保寛司さんが監修をおつとめくださいました。

 

1日目は、伊那食品工業本社にて、入社2年目から15年目までの社員の方々6人へのインタビュー。同社のみなさまと交流の深い大久保さんが、お一人お一人の思いをぐいぐいと引き出してくださいました。

 

以下、大久保さんのコメントを柱に、インタビュー寸描です。

 

「いい会社」の基準となるのは、働く人たちの目の輝き、そして笑顔の素敵さ・自然さ。それは心が前向きで、仕事を楽しんでいることの表れです。そのすがすがしく明るいの囲気にひたっていると、自然にエネルギーをもらえるのです。

 

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会社が地元の人たちから評価されることは、じつは非常に難しいこと。近くにいると、ごまかしがきかないからです。

 

伊那食品工業は、地域住民のみなさんから「あそこはいい会社だね」と本当に言われています。

 

現に、今回インタビューに応じてくださった方々の中には、「親がテレビや新聞で塚越会長のインタビューを見聞きして、入社を勧めてくれた」という方が複数いらっしゃいました。

 

また大久保さんは、同社を訪問された折に、最寄り駅からタクシーに乗られた折に、運転手さんが「あそこはいい会社ですよ」と言われるのを何度も聞いていらっしゃいます。

 

 

(写真:文屋座1日目のインタビューのようす。)

 

 

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社員の方々が毎朝きちんとあいさつを交わし合うこと、命令されなくても毎日進んで朝掃除をしていることなど、外の人が知ると驚きますが、当の社員のみなさんにはそのすごさがわからないようです。それが「当たり前」になっているからです。

 

ちなみに、同社の朝掃除は100%自主性にゆだねられています。ある社員の方が土日も含めて毎日掃除に来ていることを知った幹部の方が「彼がそこまでやっていたとは知らなかった」とおっしゃったそうです。上司が部下の掃除への出欠をチェックすることもないからです。

 

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社員のみなさんが異口同音に話してくださったのが、塚越会長の「気づく力」のすごさでした。「社内で一番気づく人」との人物像はみなさんに共通していました。

 

塚越会長から、細かな指摘をいただくことも多いようです。「段ボール箱の置き方が曲がっている」「あそこにクモの巣がある」「メダカが元気に育つように、池の水の温度を下げすぎないで」などなど……。

 

それを「うるさい」と感じることはなく、すぐに改善のために行動を起こすそうです。そして「もっと自分が気づけるようにならなければ」「もっと成長しなければ」という気持ちが強くなっていくとのことです。

 

「『自分はできていない』と言う人が、本当にできていないわけではありません。自分に求めるレベルがもっと高いから、現状の自分では満足できないのです」と大久保さん。

 

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「会長は偉大な存在」「お父さんみたい」「会長がめざしているものを、一緒に見られたらと思う」「会長の夢を一緒に実現したい」「厳しいことを言われるけれど、怖いと思ったことはない」というお話もうかがいました。そして、「会長に悪いところを一つも指摘されないほど、自分たちが気づく力を身につけたい」とも。

 

 

 

(写真:2日目の朝、伊那食品工業の朝掃除を見学・体験させていただきました。)

 

 

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伊那食品工業では、現場の課題をお互いに共有し、一緒に解決していきます。「チームワークがとてもいい」と、どの方も実感されています。

 

大久保さんによると、「多くの会社ではありえないこと。問題をできるだけ隠そうとするのが普通」とのことでした。

 

同社では、社員旅行の計画や、全員で行う山仕事などを通じて、社員同士の絆やチームワークがどんどんよくなっていきます。これは経営の室を高めるための大きな強みです。

 

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入社してから2カ月間、ひたすらプランターに花を植えてガーデンに並べる仕事をしていた方がいます。もちろん、そういう仕事があるわけではなく、工場に所属されている方です。

 

もともと花に興味があったわけではないそうですが、お客様から「きれいにしていますね」「この花は何と言うの?」などと話しかけられているうちに、「もっとお客様に満足してもらいたい」という気持ちが高まって、ガーデンづくりへの興味がどんどん広がっていったとのこと。

 

「趣味と仕事の境界が曖昧。勤務時間中に好きなことをやっているのを、許してくれる上司がいる。『きちんと結果が出るならどんどん勧めていいよ』と先輩が言ってくれる」とおっしゃる社員の方は、ここ3年ほど、工場の周りに苔を育てることに注力されているそうです。

 

苔は同社にとって、毎日掃除を継続していることの象徴、そして「苔のむすまで」と「君が代」に歌われていることにちなんで、永続の象徴でもあります。

 

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伊那食品工業では、投資の優先順位が非常にはっきりしています。「社員が働きやすい環境づくり」が一番なのです。社員の方が暑さで困っているとわかれば、すぐに暑さ対策をしてくれます。

 

同社の経営では「社員がいかに楽しく働けるか」が重要なテーマです。仕事の質は、生き生きと楽しく働くことによって高まっていくのです。

  

今回、監修をお引き受けくださった大久保寛司さんの『考えてみる』、くわしくはこちらです。

http://www.e-denen.net/index.php/kangaete

 

 

 

 

 

2012年4月29日

歴史は直線ではなく重層/中西人間塾in小布施

奈良県立万葉文化館名誉館長の中西進先生をお迎えしての「中西人間塾in小布施」を聴講させていただきました。

以下、手許のメモから、ご講演の断片を記します。

 

小布施へのご来訪は、今回が初めてとのこと。「小布施の町には“匂い”がある。“地勢”がある」と感じられたそうです。目に見えないけれど、そこに漂っている、気配、雰囲気のようなもの……それを中西先生は、町の歴史の堆積からなる「積み荷」と表現されました。

 

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過去・現在・未来という時間の流れと、そこから生まれるものを、直線的にとらえるのではなく、重層的に見ることの大切さを、中西先生は強調されます。過去はすべて、今に受け継がれ、未来へ伝わっていくということです。

 

今・ここ・自分を切り取って見るのではなく、俯瞰して、永い永い時間の中の1点にいる自分を見ること……そこから、今、すべきことを、一人ひとりが心得るための手がかりが得られそうです。

 

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日本の国づくりは5世紀以降、700年ごとに一つの節目を経て、現在、「第3の国づくり」の動乱期にあるそうです。

 

「第1の国づくり」は「芸術の国づくり」。人間の「感性」によって営まれ、「美」を求めた時代。

 

「第2の国づくり」は「学術の国づくり」。「知性」によって営まれ、「真」を求めた時代。

 

そして現在、「第3の国づくり」は、「道徳の国づくり」。「意志」によって営まれ、「理性」すなわち「善」を求める時代です。3段階を経て、日本人は「真・善・美」を獲得しようとしているわけです。

 

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第3の国づくりは、真善美のトライアングルの完成に向かう、非常に大切な段階と言えそうです。ただしこれは、第1、第2に比べて困難です。これまで、一人ひとりが個人ベースで獲得することができた美、真と異なり、善を獲得する営為は、個々人のものであると同時に集団、全体のものでもあるからです。

 

第3の国づくりには、調和・寛容・平和が必要です。

 

個々人の美や真を集めて、全体として善の文化を築いていく、それが第3の国づくりです。ご講演の最後に、中西先生は「善」を「明日(未来)への貢献」という言葉で説明されました。

 

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「全体」とは、「日本」であり、その先で地つづきに「アジア」そして「地球」でもあるのでしょう。そのとき「地球規模で考える」ことは必要であっても、「地球全体を一律にする」のではなく、「多様性を保ったまま、個々が集まって、全体として一つになること」が大切……と教わりました。

 

歴史は直線ではなく重層。「今・ここ・自分」のすべては、地層ならぬ“時層”に堆積され、未来へ伝えられていきます。一日一日、一分一秒も、おろそかにはできませんね。

 

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最後に、真善美のトライアングルを内包した、中西先生からのメッセージを。

 

「深く『情』に根ざした、 『聡明』な『意志者』であれ」

 

(写真:中西人間塾の翌日、小布施を散策、木下家を訪問された、中西進先生と人間塾卒業生のみなさま。)

 

 

 

 

 

2012年4月26日

4月29日(日)万葉研究の第一人者 中西進先生の講演会

万葉研究の第一人者 中西進先生の講演会が開かれます。


4月29日(日)16時30分から18時30分

小布施町立図書館まちとしょテラソ
 
わたしがお世話になっている中西人間塾(事務局:出版社のウェッジ社)のメンバー10人も全国から集まります。聴講無料です。中西先生を囲む夕食会のご予約は、木下までどうぞ。
 

2012年4月24日

聞く本気度が、心的飛距離を延ばす

(写真:満員御礼、ユースホステル「おぶせの風」で開催された白帯心徒塾in小布施のようす。町内、県内をはじめ、遠くは東京や群馬、新潟からもご参加をいただきました。ありがとうございます。)

 

4月14日、やぶちゃんこと薮原秀樹さんの小布施5daysの4日目には、「白帯心徒塾in小布施」が開催されました。

 

白帯心徒塾は、「わもん」をしっかりと学びたい方の集う場であり、「わもん黒帯」をめざす方の入門道場でもある勉強会です。

 

計3時間のうち初めの1時間に、講義とワーク進行を担当させていただきました。その準備と経過をめぐって感じたことを記させていただきます。

 

やぶちゃんとのやりとりの中で強く感じたことは、

 

「わもん」は、聞き手の本気度と熟練度によって、どこまでも意識の飛距離を延ばしうる

 

ということでした。

 

今回、「非言語の言語化」というテーマに対し、「聞き書き」を題材にしたワークを考える中で、やぶちゃんの談話を録音し、それをみんなで聞いて、「やぶちゃんは何を伝えようとしているのか」「いちばん受けとめてほしい思いは何か」を感じ取るワークを発案しました。

 

やぶちゃんにスピーチを依頼し、ご快諾をいただきました。その録音日の午前中、やぶちゃんから電話で、「今、毎月わもんをしてきた女の子と一緒にいるんだけれど、やぶちゃんのわもんを受けてきた感想を聞かせたいから、おいで」とお声掛けをいただきました。

 

出かけていくと、やぶちゃんと、女の子と、女の子のお母さんがいらっしゃり、女の子がやぶちゃんの前でだけ、好きなマンガのことをいかに生き生きと語ってくれるのか、そのようすにふれさせてくださいました。

 

ほんの数分の対面でした。正直なところ、やぶちゃんがなぜその場へ呼んでくださったのか、その時点ではよくわかりませんでした。

 

その理由が「これだったのかな」と思えたのは、その日の夕方、スピーチ録音をさせていただいたときでした。

 

やぶちゃんが選ばれたのは、知り合いの子どもさんの夢を聞いたこと、そこで感じたこと、というエピソードでした。ですから、「子どもの話を聞く」という部分で、私が実感をもってスピーチを聞けるように、ご配慮くださったものと思ったのです。

 

が……話はそれだけでは終わりませんでした。

 

白帯心徒塾当日、録音したスピーチを再生して、ワークを行いました。受講者の中に、お子さんとの対話がうまくいかずに悩んでいる方(Aさん)がいらっしゃいました。

 

そのあと、Aさんが話し手となって「二人羽織わもん」を行うシーンがありました。そこでAさんは、子ども向けの「しゃべり場」に参加してやぶちゃんに話を聞いてもらったお子さんから、「やぶちゃんは聞き上手」「あんなに大人が聞いてくれたことはない」と言われ、ショックを受けたことを話されました。

 

さらにAさんは、ご自身が話し手となったことで、「聞いてくれる人がいると話せる。聞いてもらうと、やわらかい気持ちになれる」「自分は(子どもに対して)聞くモードになっていなかった」と感じられたのです。

 

そこで、はたと気づきました。やぶちゃんは、Aさんが白帯心徒塾を受講されることと、お子さんとのコミュニケ—ションで悩んでいらっしゃることを知っていて、Aさんの気づきのお手伝いの意味も込めて、スピーチにこの話題を選ばれたのか……と。

 

さらにさらに、白帯心徒塾終了後、同じく受講されたBさんから、

 

「子どもの話を聞く」というテーマで語りあいながら、自分と部下との関係に思いをはせ、部下の話を聞けていない自分を再確認した、

 

というお話をうかがったとき、やぶちゃんの「心的飛距離」というものを実感したのでした。

 

日々進化しつづける、やぶちゃんの「わもん」。もはややぶちゃんは、目の前の「話し手」の悩みを聞きながらも、その話し手とつながっている、いわば「第二の話し手」「第三の話し手」を視野(「聞野」?)に入れて、第一の話し手の気づきのお手伝いをすると同時に、第二、第三の話し手に対しても「わもん」をしていらっしゃいます。

 

今回であれば、ワークの準備でご相談したナカジマを起点としながら、親子のコミュニケーションが課題のAさん、上司と部下との関係性が課題のBさん、さらにはAさんのお子さんや、Bさんの部下の方へ、そして私たちと学びの場を共有した方々へ……と、やぶちゃんは、心から心へ思いをつなぎ、「わもん」の飛距離をぐいぐいと延ばしていかれるのです。

 

まずは、目の前の話し手の話を、かぎりなく真剣に聞くこと。その話し手の人生をすべて引き受けるくらいの気構えで、とにかく全力をあげて聞くこと。

 

それをすることによって、「今、ここで、この人の話を聞く」という行為が、「その人とつながる人」にも、「聞く場」を共有した人たちにも届き、気づきが連綿と広がっていくのです。

 

個人的な仮説ではありますが、「聞く」という行為の本気度が高まったとき、聞き手の意識内に、一度に複数の人の思いを聞く態勢ができていくのではないか……と思いました。

 

つまり、「1対1」の「わもん」が深化していったとき、それがそのまま「1対N」の「わもん」になりうる、ということです。基本はあくまでも「1対1」であり、その真剣さが極まった先で、「結果として」、「1対N」になる可能性がある……そんなイメージです。

 

今後実践を重ねながら、この点について、さらに思いめぐらせてみたいと思います。

 

薮原秀樹さん著『わもん 聞けば叶う』

くわしくは……

http://www.e-denen.net/wamon.php

 

 

 

 

 

 

2012年4月20日

めざせ御札人間/小布施町役場ブックラブ

(写真:4月13日、小布施町役場の一室にて、役場ブックラブの1コマ。撮影=奥田さん。)

 

4月には、千年樹の里での交流ブックラブと併せて、小布施町役場でのブックラブにも参加させていただきました。やぶちゃんの熱意と、役場のみなさんの意欲によって、実現している勉強会です。

 

 

 

今回のお題は「自分の『ものさし』をはずす」。

以下、輪読後のみなさんの感想です。

 

「相手の言葉をそのまま使うことができない。自分の解釈で言い換えてしまう」

 

「自分と相手のものさしの優劣を比べるクセがある」

 

「子どもと話しているとき、自分のものさしで話すのでなく、『今度やぶちゃんに聞いてみるね』と言うと、子どもも納得する」

 

「生育環境の違いが、ものごとの感じ方、考え方に大きく影響する。理解できる努力をしたい」

 

「話し手の速度やリズムに合わせることがとても大切」

 

「ある事件のニュースを聞いて、被告に嫌悪感を抱いてきた。自分に矢印を向けて、その理由を掘り起こしてみたら、『こういう感情があるから、こういう行動をするんだ』とわかった。人それぞれに、背後に経験や環境がある。この気づきが、絶対尊敬への入口になるかも」

 

「『ものさし』を心得ていれば、人生、怖いものはない」

 

「人の言うことで自分がすごく揺れる。『相手はこう思っているんだ』と受けとめられたら……」

 

「勝手なイメージで人を見てしまう。自分のものさしを磨きながら、相手のものさしもわかってあげたい」

 

 

■■

 

みなさんの近況報告の中から、3つのトピックをご紹介します。

 

1)

やぶちゃんがメンタルコーチをされているリトルリーグ。日本一をめざしながら、県内のある強豪チームにどうしても勝てない小布施チーム。

 

コーチ陣は「絶対勝てる!」と口では言いながら、じつは「自分たちもあのチームに勝てなかった」というトラウマが元で、リードしている試合でさえ「逆転されるかも」という不安から脱しきれず、実際に負けてしまっていたそうです。

 

また試合前にコーチ陣から「あのチームは強い」と聞いて、親御さんたちが「勝てないかも」と思ってしまうと、いくら「がんばれ」「勝てる」と言っても、大人たちの不安が子どもたちに伝播し、それが試合結果に表れてしまうとのこと。

 

「集合無意識ですね。不安をもっていると、現実がその方面へ流されていくんです」とやぶちゃん。子どもたちの試合は、指導陣や親御さんにとっての試合でもあるのですね。またメンタルがフィジカルをいかに強固に支配しているかを思い知らされたお話でした。

 

2)

「子どもが話をしない。自己表現をしない」と悩んでいらした方が、当のお子さんとやぶちゃんと3人で会われました。そこでわかったことは、お子さんは自分に対して言葉がスコールのように降り注いでくるため、耳にシャッターを降ろして、聞かない、聞けない状態をつくっていたらしいこと、ご本人がそれに気づいていないことでした。

 

まったく予想もしなかった展開の前で、それまで「子どもの性格をなんとかしてあげたい」とおっしゃっていた方が、「自分がうるさく話していることが、子どもをそうさせてしまったのか?」と矢印をご自身に向けられました。

 

やぶちゃんからの提案で、お二人はそれぞれご家庭で、外で、聞く練習をしよう、ということに。

 

3)

上記リトルリーグの話を聞いて、「自分も野球をやっていたので、気持ちはよくわかる」と話された方。チームのメンバーから信頼されていなかった辛さ、その中でも監督が最後まで自分を信じてくれていたことが、いかに自分のメンタルを支えてくれたかを、話してくださいました。

 

この方とはまだ2度目の対面だったやぶちゃん。「こうして話を聞きながら、私は徹底的に話し手の心理メカニズムを取り込んでいきます。会うたびに、その方のデータを上書き保存して、どんどん蓄積していきます。今日、お話を聞きながら、ペンを回すクセ、腕時計を見るクセなど、全部インプットしています。今日はそれを話題にしませんが、いつか必ずそのことを聞きます」。

 

話し手のしぐさやエピソードから、どんどん仮説を立てていく。仮説を元に、話をさらに聞いて、上書き保存。その積み重ねによって、心理メカニズムを自分の意識内に取り込んでいく。という聞き方です。

 

 

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しめくくりに、やぶちゃんから「御札(おふだ)人間」のお話をうかがいました。

 

鍵山秀三郎先生がおっしゃるには、「商売でいちばんいいのは、御札商売です」とのこと。すなわち、(1)遠くから来てくれる、(2)感謝される、(3)値切られない、という商売です。

 

それを受けて、やぶちゃんは「そうか! 『御札人間』になればいいんだ! 遠くから人が会いに来てくれて、感謝される、値切られない人になればいいんだ!」と思ったそうです。

 

それは「周りが動かないのは、自分がまだ未熟だから」という姿勢につながっていきます。「わもん」で言うところの「聞き手未熟」ですね。

 

だから、「人のせいにしなくていい」「自分を高めるだけでいい」「ひたすら自分を磨こう」となっていくのです。

 

「めざせ御札人間」。「わもん」を志すときの指標を、もう一つ、教わりました。

 

 

 

 

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