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2012年2月19日

「100分授業 ようこそやぶちゃん」

 

2月16日。オブ中こと小布施中学校では、1年生3クラスを対象に、1、2時間目の2コマを通して薮原秀樹さん(やぶちゃん)の講演会が行われました。

 

NHK「課外授業 ようこそ先輩」に出演することが長年の夢だったというやぶちゃん.舞台こそ母校ではありませんでしたが、行政コンサルや男子バレー部メンタルコーチをはじめ縁の深い小布施で中学生と向きあう100分に、「ようこそ先輩」にも匹敵するほどの感慨があったのではないでしょうか。

 

演題は「100分 一流の学年づくり」。

 

冒頭、「5年後、10年後、30年後、同学年の仲間同士で会ったとき、中身は全部忘れてしまってもいい、『そういえば100分っていうの、あったよね!』『あの100分、よかったよね』と思い出してもらえるような100分にしたい」とやぶちゃん。

 

「受け身厳禁」が信条のやぶちゃんですから、演台から一方的に話して終わるようなことはなさいません。幕開けから、みんなが話して、聞いて、考える場をつくっていかれました。

 

場の緊張をほどくために、初めは男子バレー部のメンバーを呼んで、「やぶちゃんって、こんな人です」と一言ずつ紹介してもらいました。

 

続いて「やぶちゃんを知っている人、どこかで見たことがある人」を呼び、どこで知ったのかをマイクリレーで話してもらいます。一人ひとりにやぶちゃんの短いコメントが入り、だんだん空気がほぐれていきます。

 

続いて全員が生年月日順に並び、5人一組のグループに分かれます。クラス別とか男女別といった枠が外れて、話したことのない人同士も同じグループになり、ともに100分を過ごすことになりました。

 

ウォーミングアップは「小布施のすばらしいところ」をできるだけたくさん挙げるというワーク。やぶちゃんが「100個は超えてほしい!」と投げかけ、やわらかく加圧をかけていきます。時折、「こんな答えでもいいですか」と質問があると「OK!」「みんなも何でも質問して! 全部『OK!』って答えるから!」とやぶちゃん。

 

全グループが出た答えの数を発表していきます。66個、87個、54個……と挙がっていった中、たった1チーム、3ケタのチームが。102個で堂々優勝し、やぶちゃんから「ささやかな」プレゼントがありました。

 

後半は、いよいよ「井戸端わもん」です。「井戸端わもん」とは、日常生活の中で気軽に実践できる「わもん」のスタイルで、「相手も自分も責めない」「発言者の話を最後まで聞く」という2ルールで自由に話し合うことです。

 

「コミュニケーションってなんだろう?」「チャレンジ!」「壁」という順に、3つのテーマで井戸端わもんを積み上げていきました。3つがつながりあって、演題である「一流の学年づくり」へ収斂されていきます。

 

さりげなく提示されたように見えて、年齢や立場にかかわらず、この3つに対して自分なりの答えが見つかれば、怖いものはなくなりそうな、深いテーマです。

 

「井戸端わもん」の間、やぶちゃんが強調していたのは、絶対的な正解があるわけではないこと、そして、みんなが見つけた答えはすべて正解だということ。

 

あらかじめ用意された正解を見つけるのではなく、自分の心と向きあって、心の声が発する答えを自分で聞き取る……そんなワークだったと思います。「わもん」で言うところの「自己わもん」の感覚です。

 

その末に、各グループの代表者たちが発表してくれた答えは、彩り豊かで、「なるほど」と思えるものばかり。

 

難しいテーマだと思います。大人でも、「これ!」という答えにはなかなかたどり着けないかもしれません。それでも一生懸命、自分の心を見つめる時間を、同学年の仲間と一緒に過ごした、その経験が、いつか尊いものに感じられる日が来るのでは……と思いました。

 

たちまち過ぎた100分。最後に挙手による感想発表があったのですが、そこで思いがけず、すばらしい場面に出会いました。

 

手を挙げた一人の子が「井戸端わもん」の「井戸端」を「イドバシ」と読みました。聞いていた周りの子たちがクスクス笑いました。

 

即座にやぶちゃんがおっしゃいました。「みんなが笑うと、勇気をもって発言した子は傷つきます。読み方を間違ったことよりも、話し手が言いたかった思いをしっかりと聞いてあげてください。できれば後で、『イドバシって読んだけど、イドバタなんだよ』とそうっと教えてあげていただけると嬉しいです」。

 

さらに、この失言がきっかけになって笑いが起こったことから、コミュニケーションの大事な部分をまた新たに学ぶことができたことに対し、やぶちゃんはこの出来事にかかわったすべての人に感謝の言葉を贈られました。

 

これが「わもん」です。発言者に絶対尊敬。そしてその失言を笑った子にも絶対尊敬。すべてを包みこんで気づきにつなげていく……。一人として傷つく人はなく、その体験を素直に受け容れることができたのではないでしょうか。それを可能にするために、やぶちゃんがあの「場」に揺るぎない絶対尊敬を贈っていらしたのです。

 

そして一番最後に、やぶちゃんは「今日欠席された4人の仲間にも、『100分って、こうだったよ』『こんなことをしたんだよ』と教えてあげてください」とおっしゃいました。

 

やぶちゃんが、どんな勉強会でも必ず配慮されていること、それは「アウェイ感を完全に払拭する」ことです。その場に居合わせた人の中で、情報差のために疎外感やビハインド感に襲われる人が一人も出ないように、細やかなケアをしていかれるのです。

 

遅刻した人がいれば、それまでの流れを必ず説明なさいます。話題にあがった単語を知らない人には、「知りません」とも言わせないように(知らないことを打ち明けるのが恥ずかしい場合も多いので)、尋ねられる前に、知らなくて困る前に、教えます。「自分が知っていることは相手も知っているはず」という発想がなく、相手に知識を強要することがありません。やぶちゃんはそこを徹底されています。

 

どんなに小さくても、ネガティブな思いの発生を見逃さない。どんな出来事もプラスの記憶に転じていく。そのために欠かせないのが、全身全霊で絶対尊敬を贈りつづけること、そして自分を深く絶対尊敬できていることなのですね。言うは易く、行うは難いことです……。

 

100分間のやぶちゃんは、ほんとうに嬉しそうで、楽しそうでした。またあのような機会が訪れることを願います。教育にも「わもん」!

 

長文にて失礼いたしました(ホント長いわ……(^^;)。

 

  *  *  *  *  *

 

やぶちゃんの好評既刊『わもん 聞けば叶う』

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